炊飯器や電気ケトルなど、蒸気が発生する家電の収納は、新築戸建てのキッチンプランを考えるうえで意外と見落とされがちなポイントです。せっかく使いやすく設計したキッチンも、収納棚の湿気対策が不十分だと、家電の寿命を縮め、棚自体が傷んでしまうこともあります。本コラムでは、キッチン収納の蒸気対策について解説します。
押さえておきたいのは、蒸気を逃がす構造の棚を採用することです。例えばスライド式の棚は、炊飯時に家電ごと前に引き出すことができ、棚の奥や天井部分に蒸気がこもるのを防げます。市販の収納家具の中には、スライド棚とコンセントが一体になっている製品もあり、施工の自由度が高い新築時にはぜひ取り入れたいアイテムです。
また、家電の真上に棚板を設けないオープンスタイルの収納も蒸気対策として効果的です。特に、よく使うケトルやトースターなどは、蒸気や熱を直接発するため、上下左右に空間の余裕を持たせて設置することが推奨されます。見た目をすっきりさせたい場合は、扉付きの収納で隠しつつ、扉を開けたときにしっかり蒸気が逃げる設計にするのが理想です。
さらに、換気との連動も考えるとより安心です。例えば、炊飯器の使用位置がレンジフードの近くになるよう配置すれば、調理中の蒸気や臭いを効率よく外に逃がすことができます。小さな工夫ではありますが、日々の快適さに大きな差が生まれます。
蒸気を放置するとカビや結露の原因にもなり、見た目の劣化だけでなく、長期的には住宅の構造にも悪影響を及ぼす恐れがあります。ですので、新築時のタイミングでこそ「蒸気の逃げ道」をきちんと設計しておくことが賢明です。
本コラムでは、キッチンで家電収納を考える際の、蒸気対策を紹介しました。炊飯器やケトルなど蒸気を発する家電は、スライド式棚やオープン設計、換気との連動など、使用時の蒸気の逃げ道を確保することで、住宅や家電の劣化を防げます。新生活を快適に始めるためにも、収納の見た目だけでなく、実用性と安全性を意識したプランニングをしていきましょう。