2025年7月15日
新婚家庭が後悔しないための間取りとアイデア

新婚家庭が後悔しないための間取りとアイデア

新築住宅を建てるタイミングは、一生のうちでも貴重な「住まいの理想」を形にできるチャンスです。特に新婚家庭では、これから始まる二人の暮らしを快適に保ち、将来の子育てやライフスタイルの変化にも対応できる“収納計画”が欠かせません。とはいえ、「とりあえず広く作ればOK」「収納は後から考えればいい」と安易に決めてしまうと、完成後に“しまった!”と後悔することもしばしば。
本記事では、収納の量や配置といった基本から、部屋ごとの具体アイデア、生活動線との連携、そして使いやすさや見た目の工夫まで網羅的に紹介します。実例や失敗談も交えながら、新婚夫婦が安心して長く快適に暮らせる「後悔しない収納づくり」のコツを徹底解説します。

まずは収納の「量」と「場所」を科学する

理想の収納を実現するには、感覚や雰囲気だけではなく「どれくらいの収納スペースが必要か」を数値で把握することが大切です。まずは収納率の目安を押さえた上で、家のどこにどれだけの収納を設けるべきかを整理しましょう。生活動線とのバランスも考慮することで、使いやすさが格段にアップします。

収納率の目安とどこに何㎡使う?(10〜15%が理想)

新築住宅の収納を考える際に、まず押さえておきたいのが「収納率」です。収納率とは、延べ床面積に対する収納スペースの割合のこと。目安としては10〜15%が理想とされています。延床30坪(約100㎡)の住宅であれば、10〜15㎡程度の収納を確保するのが基本となります。
しかし、収納率だけにとらわれるのは危険です。家全体のどこに収納を配置するかによって、日々の暮らしやすさは大きく変わります。たとえば、2階にまとめて収納を取っても、1階で使う掃除用具や日用品の置き場に困る…といったことも。
大切なのは、「必要な場所に、必要な分だけ、最短距離でアクセスできること」。収納は“面積の確保”ではなく“使いやすさの配置”が肝心です。理想的なのは、各部屋や導線上に分散して収納を設けること。これにより、物の出し入れがスムーズになり、片付けが自然と習慣化される住まいになります。

目的別・使用頻度別の収納計画チャート

収納設計で見落としがちなのが、「何をどれだけ、どこに収納するのか」を明確にしておくことです。収納する物には、使用頻度・サイズ・重さなどの違いがあり、それに応じて最適な場所や形も変わってきます。ここでは、目的と使用頻度を軸にした収納計画チャートの考え方をご紹介します。

使用頻度収納場所の目安収納方法の例
毎日使う生活動線上(目線〜腰)引き出し・オープン棚
週1回程度生活動線近く・やや高所上部吊り戸棚・中段棚
月1回未満隅や高所、床下ロフト、天袋、床下収納
年数回予備室や屋根裏など小屋裏収納・押入れ

たとえば、日常的に使うバッグや鍵は玄関収納、週末だけ使う調理家電はパントリーの中段など、使用頻度に応じて収納を「住まいの動き」と連動させて設計すると効率が良くなります。導線を意識した配置にすることで、収納は“出し入れが面倒な場所”ではなく、“自然と片付く場所”へと進化します。

部屋ごとの収納必須アイテムと設計のコツ

収納計画は、場所ごとの使い方や家族構成に合わせて考えることが重要です。玄関やキッチン、リビングなど、各スペースに求められる収納の役割は異なります。この章では、部屋別に「設計時に押さえておきたいポイント」と「おすすめ収納アイテム」を紹介しながら、快適で無駄のない住まいを作るヒントをお届けします。

玄関&土間収納…必要なサイズと土間ならではポイント

玄関は家族全員が毎日必ず使う場所でありながら、モノが散らかりやすいポイントでもあります。そこで活躍するのが「玄関収納」や「土間収納」です。玄関まわりで必要になる物といえば、靴・傘・ベビーカー・アウトドア用品・防災グッズ・スポーツ用具など多岐にわたります。
目安となる広さは、2人暮らしであれば最低でも0.75畳(約1.2㎡)、将来的に子どもが増えることを想定するなら1.5畳以上あると安心です。収納棚の奥行きは40cm程度あれば、靴や小物を効率よく収められます。
また、土間収納を設ける際は“玄関との仕切り”も検討ポイントです。扉付きにすれば来客時に生活感を隠せますし、オープンにすれば動線がスムーズになります。棚は可動式にすると、季節用品の入れ替えや将来的なライフスタイル変化にも対応可能です。
さらに、換気扇や小窓を設置すると湿気・におい対策にも◎。見た目以上に“暮らしやすさ”を支える土間収納は、新婚のうちにしっかり設計しておくことで長く使える資産になります。

キッチンパントリー&吊り戸棚…導入すべき仕様と注意点

キッチンは生活感が出やすい場所だからこそ、使いやすくスッキリ保てる収納が欠かせません。特に注目したいのが「パントリー」と「吊り戸棚」です。
パントリーは食品や調理器具、買い置き品などをストックできる収納スペース。冷蔵庫とは別の“常温保管エリア”があることで、調理効率もアップします。新婚家庭なら0.5〜1畳程度が目安ですが、収納量だけでなく「導線」が重要です。キッチンから数歩以内に配置し、扉付きかオープンかは生活スタイルに応じて選びましょう。
一方、吊り戸棚は高い位置に設置する分、収納量は確保できても「使いにくい」と感じる人も少なくありません。日常的に使うものは手が届く中段以下に、吊り戸棚には予備の食器や来客用のストックなど“使用頻度の低いモノ”を収納するのがおすすめです。
また、最近は昇降式の吊り戸棚(ダウンキャビネット)を採用する家庭も増えています。少しコストは上がりますが、毎日の使いやすさは段違い。キッチンの快適さは、収納の「配置」と「アクセス性」で決まるといっても過言ではありません。

リビング&小上がり…造作家具との相性と家族目線

リビングは家族が集う中心的な場所だからこそ、収納力と快適さのバランスが重要です。収納家具を後から置くよりも、最初から「造作家具」として空間に馴染む設計をしておくことで、生活感を抑えつつ使いやすい空間が実現します。
テレビボード下に引き出しを造作したり、壁一面に埋め込み収納を作ったりと、リビング収納は「見せる」と「隠す」を組み合わせるのがポイント。新婚家庭の場合、夫婦の趣味アイテム(ゲーム機・雑誌・ガジェットなど)や来客対応グッズを分けて整理できる収納があると便利です。
また、近年人気なのが「小上がり」の和スペース。ここに引き出し収納や床下収納を組み込むことで、収納力をプラスできます。たとえば、季節の布団や子どものおもちゃ、育児グッズなど“使うけれど見せたくないもの”の保管にぴったりです。
小上がりは段差がある分、子どもの遊び場や昼寝スペースとしても重宝します。家族の変化に柔軟に対応できる“多機能なリビング収納”を考えておくことで、住まいはより長く心地よい場所になります。

洗面/脱衣所…可動棚・ニッチ・カウンター収納術

洗面所や脱衣所は面積が限られている分、収納計画を緻密に立てることで「ごちゃつき」や「ストレス」を減らせます。特に新婚家庭では、将来の子育てや来客も見据えて、実用性と清潔感を両立させる工夫が求められます。
まずおすすめしたいのが、奥行き30〜40cmの可動棚。タオル・洗剤・掃除道具など、アイテムごとに高さや量が変わるため、可動式にしておくと格段に使いやすくなります。湿気のこもりやすい場所なので、通気性のあるメッシュ棚も効果的です。
また、壁の一部を凹ませてつくる「ニッチ収納」は、限られたスペースを有効活用するテクニック。洗面台横にニッチを作れば、歯ブラシ・ヘアケア・コスメなどの小物をスマートに収納できます。
さらに、カウンター下のスペースも見逃せません。引き出しタイプの収納を組み込んだり、オープン棚にバスケットを活用したりすれば、日用品をスッキリ整理できます。
洗面所は「朝の身支度」「夜のリラックス」「洗濯動線」の交差点。限られたスペースでも、動線と用途を整理した収納を作ることで、暮らし全体の快適さがワンランク上がります。

寝室・ウォークインクローゼット…将来を視野に入れた広さと配置

寝室は“寝るだけの部屋”と思われがちですが、収納の設計を軽視すると後悔のもとになります。特に衣類や寝具、季節物の管理において、ウォークインクローゼット(WIC)の有無と使いやすさは、快適な生活を大きく左右します。

悠悠ホームの実例では、「寝室にWICを作ったが、通路幅が狭くて使いにくい」「奥に入れた衣装ケースが取り出しづらい」などの失敗談が多く見られます。これを防ぐためには、**最低でも幅1.2m(通路幅60cm+収納棚両側)**の確保が必要です。夫婦2人分の衣類を収納するなら、3〜4帖(4.5〜6.0㎡)ほどあると安心です。

また、WICの配置にも注意が必要です。リビングを通らないと行けない位置にあると、着替えや衣類の出し入れが面倒になります。理想は寝室から直接アクセスできる動線。さらに、洗面脱衣所〜WIC〜寝室がつながる“家事ラク導線”を意識すると、洗濯から収納までがスムーズになります。

収納棚は固定式よりも可動棚+ハンガーパイプで、季節や生活の変化に合わせてアレンジできる仕様にすると長く快適に使えます。将来の家族構成やライフスタイルの変化も想定して、柔軟性のある収納空間を設計しておくことが、新築計画における大きなポイントです。

間取り×動線で「片付けラク」な生活流れを設計

どんなに収納スペースを確保しても、動線に合わない配置では日々の片付けがストレスになってしまいます。大切なのは「使う場所のすぐ近く」に収納を配置すること。特に共働きの新婚家庭では、家事の時短やスムーズな生活動線が暮らしの質を大きく左右します。実際の生活シーンを想定しながら、収納と動線の関係を最適化しましょう。

使う場所の近くに収納を配置する黄金ルール

新築住宅の収納で見落としがちなのが、「収納する場所と使う場所の距離」です。しまう場所が遠ければ、取り出しも片付けも面倒になり、結果として“出しっぱなし”が常態化してしまいます。そこで意識したいのが、「使う場所の近くに収納をつくる」という黄金ルールです。

たとえば掃除道具はリビング横に、洗剤のストックは洗濯機の近くに、日用品は通る廊下沿いに…というように、“使用シーン”と“収納位置”を一致させることが、スムーズな暮らしを生み出します。特に新婚家庭や共働き夫婦にとって、片付けやすい仕組みは時短とストレス軽減に直結します。

さらに、棚の高さや奥行きにも工夫を。毎日使うものは目線〜腰高、週1程度なら中段、年に数回の物は高所や床下へ。これにより、動作に無理のない収納動線が完成します。

収納は“面積”よりも“配置”で決まる。家のあちこちに分散して「使う場所に即アクセスできる収納」を整えておくことで、自然と片付く家が実現します。

共働き家庭に効く“動線×パントリー”配置パターン

忙しい共働き家庭にとって、家事の効率は暮らしやすさの要。その中でも“料理動線”を左右するパントリーの配置は、特に重要な収納ポイントです。パントリーとは、食品・調理器具・日用品などをまとめて収納できる専用スペース。ストックの把握がしやすくなり、買い物や調理の無駄も省けます。

理想的な配置は「キッチンのすぐ横」または「玄関〜キッチンの間」。買ってきた食材をそのままパントリーに入れてからキッチンに運べる、いわゆる“買い物動線”を意識した設計です。また、共働きの場合は“週末にまとめ買い”が多くなるため、パントリーの奥行きや可動棚も柔軟性のある仕様にしておくと重宝します。

さらに、冷蔵庫やゴミ箱スペースと干渉しないように、動線上の幅や開閉スペースも要チェック。引き戸やロールスクリーンを採用することで、動線の邪魔をせず収納スペースを確保できます。

日常の動きをスムーズにするパントリーは、収納の「量」だけでなく「導線配置」が決め手。少しの工夫で、日々の家事が劇的にラクになる空間が完成します。

家族のライフサイクル変化に強い収納の柔軟設計(可動棚/コンバーチブル仕様)

新築住宅は“今の暮らし”だけを基準に設計してしまいがちですが、実はもっとも重要なのは「10年後、20年後の暮らしにどう対応できるか」です。特に新婚家庭では、将来の子ども・仕事・趣味・介護など、ライフスタイルの変化が大きく影響します。そこでおすすめなのが、柔軟性のある収納設計です。

鬼丸ハウスの実例では、「収納棚を固定してしまい、子どもの成長とともに使いにくくなった」という声がありました。これを防ぐために有効なのが可動棚。収納する物のサイズや量に合わせて棚板の高さを調整できるので、育児グッズから学用品、生活用品まで幅広く対応可能です。

さらに、近年注目されているのがコンバーチブル仕様の収納。一例として、将来は机として使えるカウンター収納や、間仕切りを取り外すとクローゼットが拡張できる設計など、家族構成や生活の変化に応じて“用途を変えられる”収納が増えています。

収納は「今ちょうど良い」ではなく、「未来に応じて変えられる」が正解。可動式・可変式の設計を取り入れることで、長く快適に暮らせる家が実現します。

収納の“見せ方”と“使いやすさ”を両立する選び方

収納には「隠す」だけでなく「魅せる」楽しさもあります。生活感を抑えつつも、空間のインテリア性を損なわない収納設計ができれば、より心地よい住まいになります。この章では、視覚的にもスッキリ見える収納の工夫や、使いやすさとのバランスを考えた収納パーツの選び方を具体的に紹介します。

見せる収納と隠す収納のバランス術

収納の「量」や「機能性」だけでなく、空間の印象を左右するのが“収納の見せ方”です。近年は、おしゃれな雑貨や日用品をあえて見せて魅せる「見せる収納」が人気を集めていますが、一方で生活感の出るアイテムはしっかり隠したいというニーズも根強くあります。
このバランスを上手に取るためのコツは、「見せる場所」と「隠す場所」を明確に分けることです。たとえばリビングの一角にオープンシェルフを設けて、お気に入りの本や観葉植物をディスプレイ。一方で、掃除用品や日用品のストックなどは扉付き収納や引き出しの中にしまう、といったゾーニングが有効です。
「見せる収納」は空間に立体感やリズムを与える反面、ホコリや散らかりやすさも伴います。そのため、定期的に整理する習慣が必要です。逆に「隠す収納」は手間なくスッキリ見せられますが、使い勝手が悪いと“しまいっぱなし”になってしまうことも。
大切なのは、見た目と実用性のバランス。新婚家庭では、将来的に家族が増えても対応できるよう、「見せたいモノ」「隠したいモノ」を事前にリスト化して収納場所を設計するのが成功のカギです。

ロールスクリーンや引き戸で生活感をスマートに隠す

生活の中には、どうしても“見せたくない物”が出てきます。たとえば、キッチンのゴミ箱や調理家電、洗濯機まわりの洗剤、掃除道具、郵便物の一時置きなど。こうした生活感の出やすいアイテムは、ロールスクリーンや引き戸を使って“さりげなく隠す”工夫が効果的です。

特にロールスクリーンは、必要なときだけサッと下ろせる手軽さが魅力。カウンター下のオープン棚やパントリー、洗濯機横の収納スペースなどに設置すれば、生活感を抑えながら中身へのアクセスも簡単にできます。色や素材も豊富で、空間に合わせたコーディネートも可能です。

一方、引き戸は“省スペース”という点でも非常に優秀。開閉時に前方のスペースを取らないため、廊下収納やリビング収納など狭い場所にも設置しやすく、見た目もスッキリと整います。棚板や可動収納と組み合わせることで、使い勝手を保ちつつ、視界から生活感を遠ざけることができます。

新築時にこうした仕掛けをあらかじめ取り入れておくことで、家全体の印象がワンランクアップ。使いやすさはそのままに、見た目はスマートに意識した収納設計が、理想の住空間をつくります。

昇降式吊り戸棚・ダウンキャビネットで楽々アクセス

キッチンや洗面所の吊り戸棚は、空間を有効活用できる反面、「高くて届かない」「奥の物が見えにくい」といった声も多い場所です。そこで近年注目されているのが、昇降式吊り戸棚(ダウンキャビネット)。棚自体が上下に可動するため、誰でも安全・簡単に手が届くのが最大の魅力です。

鬼丸ハウスの施工例でも、「奥様の身長に合わせて吊り戸棚を昇降式にしたことで、調理がスムーズになった」という事例が紹介されています。キッチンでは乾物・調味料・非常食など軽くて細かい物を、洗面所ではストック類や薬箱を収納するなど、使用頻度が高いのに“しまい場所に困る”アイテムの収納に最適です。

クリエイト礼文の事例でも、吊り戸棚をただ設けるのではなく、出し入れの動線まで想定して設計することの重要性が述べられています。昇降式にすることで、無理な背伸びや踏み台の使用が不要になり、ケガのリスクも軽減。特に妊娠中や子育て中の方、高齢者にも優しい設計です。

設置にはキャビネットの幅・昇降スペース・吊り戸の耐荷重など、事前の確認が必要ですが、「使いやすさ」を追求するなら導入価値は十分。新築時にこそ検討したい、“目には見えにくい快適性”を支える収納設備のひとつです。

オプション&スペース活用で“あとあと後悔しない”収納を

住んでから「ここも収納にすればよかった…」と後悔しがちなのが、ちょっとした空きスペース。階段下やロフト、造作家具の裏側など、活用次第で大きな収納力を発揮する場所が家の中には多くあります。家づくりの段階で知っておくと役立つ“+α”の収納アイデアや、将来のリフォームを見据えた設計ポイントをご紹介します。

ファミリークロゼット/パントリーの選び方・平均サイズ

家族全員の衣類を一括で管理できるファミリークロゼット(ファミクロ)と、食品や日用品のストックを効率よく収納できるパントリー。どちらも生活の質を左右する重要な収納スペースです。限られた面積でも、設計次第で“片付く家”の土台になります。

ファミリークロゼットは、家族の衣類を1カ所にまとめて管理できるため、洗濯→収納の動線が短くなり、家事がグンと効率化されます。広さの目安は、2人暮らしで1.5〜2帖(約2.5〜3.3㎡)、将来子どもを見据えるなら3帖以上を確保すると安心です。位置は洗面所やランドリールーム近くに設けると、“洗って干してそのまましまう”流れが自然に作れます。

一方パントリーは、0.5帖〜1帖(約0.8〜1.6㎡)あれば十分な収納力が得られます。キッチンから数歩以内の位置が理想で、買い置きや非常食、使用頻度の低い調理器具などを一元管理することで、キッチン本体をスッキリ保てます。棚の奥行きは30~40cmが一般的で、奥行きを深くしすぎると“デッドスペース化”しやすいため要注意です。

どちらも動線との相性と、家族の暮らし方に合った設計が鍵。無理に大きくするよりも、“使い切れるサイズ”でコンパクトに整えるのが長く快適に暮らすコツです。

階段下・小屋裏・ロフト活用のルールと注意点

「もう少し収納が欲しい…」というときに活用したいのが、階段下・小屋裏・ロフトといった“隠れスペース”です。ただし、これらの収納は設計ルールや使い方に注意しないと、「使いにくい」「しまったまま忘れてしまう」などの失敗につながりやすいのも事実です。

まず階段下収納は、高さが三角形に狭くなるため、奥行きが深すぎない設計がポイント。奥まで手が届かないと結局「デッドスペース」になりがちです。掃除機や季節家電、ストック用品などを収納するなら、可動棚+引き出し式収納を組み合わせると使いやすさが格段に向上します。

小屋裏収納は、建築基準法上「天井高1.4m以下」「床面積が下階の1/2以下」であれば床面積に含まれません。納戸として活用するには十分な広さが取れることも多く、シーズンオフの衣類や思い出の品など、長期保管に向いた空間です。ただし、夏場は高温になるため、換気や断熱対策を忘れずに。

ロフトは子どもの遊び場や趣味スペースにも活用できますが、ハシゴ型よりも階段型にすることで安全性と日常使いのしやすさが向上します。また、将来的に用途を変えられるように、床補強や照明・コンセントの設置も事前に検討しておくと便利です。

どの空間も「収納に変換する設計力」と「安全性・使い勝手への配慮」がセット。小さなスペースでも、工夫次第で“暮らしに効く収納”へと変えられます。

収納可変性と追加コスト回避のヒント

収納は「一度つくったら終わり」ではなく、暮らしの変化にあわせて“更新”していく考え方が理想です。特に新築時点では想像できない将来の変化(子どもの成長、在宅ワークの導入、親との同居など)に備えて、可変性のある収納計画=“リノベ前提設計”をしておくと、後からの追加工事や費用を抑えることができます。

たとえば悠悠ホームの事例では、「子ども部屋として仕切れるように、クローゼットを壁際ではなく中央に設置」「将来的に棚を取り外して書斎に変更可能」など、空間の“可変性”を高める収納設計が紹介されています。

クリエイト礼文では、収納の棚板やポールを固定せず、可動棚や壁面レール式収納を採用することで、将来的なレイアウト変更に柔軟に対応できる工夫が目立ちます。特に玄関収納やファミリークロゼットでは「高さ」「奥行き」の可変性が使い勝手を大きく左右します。

鬼丸ハウスでは、「将来家具で仕切れるようにコンセント位置を調整」「収納を天井まで設けず、間仕切り変更の余白を残す」といった“リフォームコストを最小限に抑える設計”が好評です。

こうした配慮は、今すぐ便利になるだけでなく、10年後・20年後に“選択肢が広がる家”になります。収納は「完成形」ではなく「変化に対応できる器」として捉えるのが、長く快適に暮らすためのベストプラクティスです。

まとめ

新築住宅の収納は、暮らしの快適さを支える“裏の主役”とも言える存在です。使いやすく、片付けやすく、そして将来の変化にも対応できる収納をつくるためには、設計段階からしっかりと計画を立てることが重要です。収納は、量よりも配置や使い勝手がカギを握ります。使用頻度に応じた収納場所の設計や、家事動線と連動した配置、見せる収納と隠す収納のバランスなどを意識することで、自然と片付く仕組みが生まれます。また、棚の可動性や昇降式の設備、ロフトや階段下などのスペース活用も、長く使える家を実現するためのポイントです。将来の家族構成やライフスタイルの変化を見据え、リノベーションにも対応しやすい可変性を備えておくことで、後悔のない収納計画が完成します。今の暮らしだけでなく、これからの人生を見据えて“使い続けられる収納”を目指しましょう。

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